御還り天子の不思議なお話
当寺の本堂への階段の横に写真の像が置かれています。近所の人はこの像を「御還り天子」と呼び、本堂に上がられる前に必ずお参りされます。
この像には不思議なお話が残っています。
この像は、本堂の屋根の一番高いところへ、お守りとして掲げてありました。ところが昭和三十三年、何かの拍子に、この像の頭部が屋根からころがり落ちて、地面にたたきつけられてしまいました。しかし、不思議なことに頭部は傷一つ無く無事であったのです。その当時たまたま大阪の収集家が、当寺を訪れ、これは珍しいと言って持ち帰りました。
しばらくして、ある年老いた女性が当寺を訪れ、誰かがお寺に非常に帰りたがっているというお告げを聞いたというのです。住職には思い当たることは、この像の頭部だけです。早速大阪かの収集家に連絡して、事情を説明して、またこの寺に主鳥になりました。しかし、住職も頭部のみですので、置く所が無くダンボールに入れて、片隅に置いていました。ところが、またも同じ女性が「暗いところに閉じ込められている。明るいところに出たい。」とのお告げがあったと来寺されたのでした。この不思議な出来事があって、それからは、体の部分を新たに作り、現在の位置に置かれるようになったのです。
それから、地元では屋根から落ちても怪我ひとつ無く、遠くへ行っても無事に帰ってきたことから、「御還り天子様」と呼ぶようになり、海外や国内の旅行に出かける前には、旅行が無事終わって帰ってこれるように、この天子様を拝むようになりました。 |